工場でもIoT化を進めましょう! 推進の背景や導入の効果、方法を解説


皆さま、こんにちは。

さいたま市を拠点に関東エリアで工場などの電気工事を請け負っているトナミエンテックです。


近年ではデジタル技術の発展により、インターネットとモノがつながるIoT(Internet of Things、モノのインターネット)化が進んでいます。工場でも積極的に取り入れられていますが、新規設備の導入コストや入れ替え工事による操業への影響を懸念し、IoT化に踏み切れないケースも少なくありません。

しかし、コストなどの問題を含めたとしても、製造現場におけるIoT化は非常に大きなメリットがあるのです。今回は、工場のIoT化が進む背景やメリット、導入する際の流れをご紹介します。




■工場のIoT化とは?



工場のIoT化とは、簡単にいうと工場内の機器とパソコン・タブレット・スマートフォンといったデバイス(端末)を、ネットワークで接続することを指します。主な目的は、ネットワークを通じて機器の制御やデータ収集を行い、生産性向上・品質向上・経費削減などにつなげることです。なぜこれほどの成果を生み出せるのでしょうか?


その理由は、IoT化が工場に「見える化」をもたらしてくれるからです。見える化とは、さまざまなデータを具体的な数字にしたり、リアルタイムで把握できるようにしたりすることをいいます。実現の手段としては、センサーによる機器・製品の状態の計測や、無線通信による大容量データの安定送信が使われます。


たとえば、ある機械が1日に何時間稼働しているのか、何個の製品を生産しているのか、不良品の発生率はどのくらいか、在庫は何個あるのか、何人の従業員がどこで何時間働いているのか、進捗状況は……。といったように、生産現場に関係するデータは膨大な量に上り、従来の工場では詳細に把握できていないケースも珍しくありませんでした。


こういったデータを正確に把握できるようにするのが見える化であり、得られたデータを蓄積・分析すれば、工場の抱える問題点が見えてきます。結果として、今までは気づいていなかった問題点や、問題が発生している原因を把握でき、効率的な業務改善につながります。これこそが工場のIoT化の狙いなのです。




■工場のIoT化が進む背景



近年、工場のIoT化が推進されている背景には、従来の工場が抱えてきたさまざまな問題があります。たとえば、スケジュール管理が不十分だったために納期に間に合わないというケースは、非常に多くの工場が経験しているでしょう。繰り返されれば取引先の信頼を失い、経営に悪影響をもたらします。


また、日本は全体的な生産性の低さが問題になっており、工場でも従業員の作業効率が思わしくなく、労働時間が長い割に成果が上がらないケースが目立ちます。他にも、大量の備品を間違って発注してしまったり、工場の生産能力を超過した仕事を引き受けてしまったり、歩留まりがラインを割っていることに気づかなかったり……といったトラブルは珍しくありません。


さらに、製造の現場は非常に事故が発生しやすい場所です。重い障害が残ったり死亡したりする重大事故も多く、労働災害対策は長年の課題になっています。作業員の安全が脅かされるような環境では、効率のいい作業も望めないでしょう。


従来の工場でこういったトラブルが多発してきた原因は、結局のところ「データ管理ができていないから」です。つまり、IoT化によって工場設備をネットワークでつなぎ、各種データを見える化すれば、製造現場の抱える問題を一気に改善できる可能性があります。


たとえば、機械の運行状況や部品・材料の在庫を把握できていれば、無理のない作業計画を立てられます。備品の無駄な発注もなくなりますし、工程の見直しによって作業効率を高めたり、品質を向上させたりすることもできるでしょう。もちろん、従業員の労働環境改善にもつながります。


このように、IT技術をフル活用した工場を「スマートファクトリー」といいます。これから先の時代に安定した工場経営を続けるためには、工場のIoT化・スマートファクトリー化が必要不可欠といってもいいでしょう。




■工場におけるIoT導入のメリット



ここからは、工場におけるIoT導入のメリットを、より具体的にご紹介します。メリットは数多くありますが、特に重要なのは以下の4つです。



・コスト削減・省人化

従来だと、工場の設備を点検する時は、人の手による巡回・点検・記録・報告といった作業が必要でした。大型で複雑な機械がいくつもあるような工場では、この点検に費やされる人手やコストは小さくありません。


そこで役立つのがIoT化です。工場の機械をIoT化すれば、稼働状況のデータ収集や不具合の報告を自動化できるため、人の手による巡回・点検業務を大幅に減らすことができます。加えて、報告書への記入やシステム入力といった作業も必要なくなるので、業務の効率化と省人化、コスト削減が見込めるのです。



・生産性の向上

工場設備をIoT化すると、部品・材料や製品の在庫量、設備の稼働状況、生産の進捗状況などをリアルタイムで確認できるようになります。その結果、部品の発注忘れによる作業の停止や、過剰発注・過剰生産による在庫の蓄積、進捗の確認不足による納期遅れといったトラブルを減らすことができます。つまり、作業の無駄がなくなって生産性が向上するのです。



・品質の向上

不良品はどのような工場でも発生するものですが、許容範囲を超える不良品が出てしまい、しかもその原因がよくわからないというケースは珍しくありません。しかし、設備のIoT化によって収集・蓄積されたデータを分析すれば、不良品が出る原因を特定して製造方法を改善したり、設備のトラブルが起きにくい環境条件を発見したりできます。つまり、製品の品質が向上するのです。


それに加え、ベテラン職人の持つ技能やノウハウをデータ化し、社内全体で共有することもできます。作業員のレベルが底上げされれば、やはり製品の品質向上が期待でき、一部のベテラン職人に依存している状況(属人化)も改善できるでしょう。すなわち、技術の承継にもつながるのです。



・事故予防

工場で発生する事故のうち、設備の不具合が原因であるものについては、IoT化による対策が非常に有効です。IoT化によって設備の稼働状況を常時モニターできるようにすると、振動・異音・温度変化といった不具合の発生をリアルタイムで検知し、速やかに対処することで事故を予防できます。


また、リモートによるモニタリングも可能なので、管理者が現場にいる必要がないのも大きなメリットです。夜間や出張中・移動中にトラブルが発生しても、現場の状況を瞬時に把握して対応することができます。結果として、管理者の負担減にもつながります。




■工場にIoTを導入する際の流れ


ここまで見てきたように、工場のIoT化には数多くのメリットがある一方、注意すべき点も少なくありません。IoT化を成功させるためには、ポイントを押さえて計画的に進める必要があります。そこで、IoTを導入する際の基本的な流れを確認しておきましょう。



①導入の目的を決める

まずはIoT化の目的を明確にします。ここが曖昧なまま進めると、十分な効果が上がらず「IoT化しただけ」になってしまい、コストが無駄になる可能性が高いからです。


そこで、工場内の設備の稼働状況や不良品の発生状況、在庫量、作業速度などを調べ、発生している問題を抽出しましょう。その中で特に大きな問題に着目し、「生産性アップ」「省エネ化」「在庫削減」といった目標を立てます。いきなり全体をIoT化すると多額のコストがかかるため、無理のない規模から始めて継続することが大切です。



②データの見える化

IoT化に必要な機材をそろえ、各種データの「見える化」を行います。主な必要機材はデータを取得するためのセンサーや、データの保存先となるPC・サーバー、収集したデータの分析を行うシステム・デバイスなどです。


ただし、いきなり多くの機材をそろえると、狙いが外れた場合にコストの無駄が発生してしまいます。そのため、最初は部分的に機材の導入やデータ取得・分析を行い、結果を見て少しずつ調整していきましょう。システム関連の部署がない会社の場合は、専門業者に相談しつつ進めると確実です。



③集めたデータを活用してシステム制御

ここからがIoT化された設備の本格的な運用フェーズです。データを「見える化」してしばらく経つと、さまざまなデータが蓄積されてきます。その結果、不良品は何個発生しているのか、発生の原因は何か、担当者の作業時間はどのくらいか、最も無駄の多い工程はどこかといった、生産現場の問題点やその原因が見えてくるはずです。


このデータをもとに、業務改善のためのシステム制御を行います。方法はさまざまで、機械の設定を少し変えるだけでいいかもしれませんし、新しい機械を導入した方がいいかもしれません。もちろん、機械ではなく作業員の動きや配置を改善した方がいいケースもあります。どのような問題(あるいはその兆候)を検出したらどんなアクションを取るのか、というルールも構築しましょう。



④システムを自動化する

ここまでの工程を人が中心になって行っても、IoT化は十分な効果を発揮します。しかし、最も理想的なのは、データの収集・分析・改善策提案を完全に自動化することです。最終的にこの体制が実現できれば、膨大で複雑なデータを人の手で分析し、頭を悩ませて改善策を提案する必要もなくなります。


そのために欠かせないのがAIの活用です。人の手によるデータの分析や改善策の提案の流れ(データドリブン)をAIに繰り返し学習させると、AIが自動でデータを分析・判断し、最適な改善策を提案してくれるようになります。自社でここまで行うのは難しい場合も多いので、専門業者の力を借りつつ理想的なスマートファクトリーを作り上げていきましょう。




■まとめ



工場設備をIoT化すれば、点検業務の省人化や事故予防、生産性向上などさまざまな効果が期待できます。つまり、製造現場が抱える多くの課題を解決してくれるとともに、経営改善や付加価値の創出にもつながるのです。


しかしながら実際にはAIを活用できているIoT化された工場自体の実績数がまだかなり少ないのが現状です。見える化して無駄を省くだけでも大幅なコストダウンにつながるため、まずは「工場の見える化」をしてみてはいかがでしょうか。


もちろん、導入にはいくつか注意点もあるため、計画的に実施する必要があります。まずは、信頼できる専門業者に相談してみましょう。


トナミエンテックでは、プラント電気工事を中心に電気工事を行っています。創業以来、2000件にも上る施工実績を積み上げ、大手企業の工場改修なども手掛けてきました。工場のIoT化の実績も豊富で、設計・管理・施工までトータルサポートし、低コストで迅速な対応が可能です。工場設備のIoT化を検討中なら、ぜひトナミエンテックにご相談ください。